「ベリータイプ」手売りの記憶 | Struo-stationery
ドログラペンケースの中でも"ベリータイプ"というモデルがあります。ベリーは革の腹部の呼称です。これは今もオーダー頂く機会がありますが、名入れを施して、チームで持って頂ける喜ばしい商品です。今まで、研究機関や、勉強会、会社、チーム単位でまとめて購入していただく事もありました。
商品の成り立ちを思い返すと、手売りの記憶ですね。東京を練り歩いて売っていた時代の産物。外部環境との相互作用によって生まれた"ベリータイプ"という視点やワードも最初は世の中になかったんですよ。今ではクラフトタイプとか言い回しを変えて同じような売り方をしている会社もありますが、似た様な見た目でも、裁断する部位によって価格が変わるという売り方のアイデアを出したわけです。思い出すのは、最初4年ぐらいクラフト市を転々とし、丸善や百貨店に出展し始めた頃に作ったアイテムだということ。当時、楽天市場に出店してた卸先で好評だったモデルを、確実性を求めて別パターンで用意したっていうのがきっかけになります。
同じ箱型ペンケースでも標準タイプとベリータイプの2種類を並べていたので、当時は"どう違うんですか"と現場で問われ、その違いを一生懸命説明していました。お客様のリテラシーが徐々に成熟してきたおかげで、今は天然皮革の表面にあるちょっとした模様レベルの小傷やシワやトラ、血筋跡とか、普通に説明すれば分かってくれるのですが、最初は反応が全く違いました。ベリータイプは価格に弾性を持たせる効果があるので、作り手としての売る努力、すなわち妙手の一つと言えます。
STRUOは生粋のレザーメーカーですから、革を上手に使うということにかけては凄くアイデアを出して蓄積してきました。天然の皮革を観察すると、部位による質感のブレやゆらぎがあり、多くの人が納得するかたちで何とか上手く使えないかなという思いに駆られた結果、編み出した方法の一つが「ベリータイプ」なのです。
自分のイメージですが、包容力の高いお客様に支えられて残った商品ですね。モノと同期するというか、現実の世界を生き抜く上でのリアリティを感じるのだと思います。ECで販売していると、良い事ばかりを並べる傾向がありますから。ベリータイプも進化して、今ではこのカテゴリの中で質にこだわった場所でしか裁断していません。丁度良く仕上げることに注力しています。