紙幣と元素 | Struo-stationery online

巧妙な紙幣作りにも元素は関わっています。かつて日本を震撼させた偽札事件の話をTVで見かけて、元素も関わってるなと推測しました。磁気が入った特殊なインクが使われているらしく、機械すら欺くほど精巧だったらしいのです。そういえば、ナチスの贋札(ベルンハルト作戦)を題材にした映画があったなと。素朴な疑問で、結論的には国立印刷局の工場見学を予約しよう!って事なんですが、調べられる範囲でも相当面白い題材です。
日本の紙幣のことを私達はどれだけ知っているでしょう?ここでは、純粋にマテリアルのことを意味します。この紙はただの紙ではなく、国家専用に開発された複合素材。デジタルペーパーにアナログの紙が駆逐されていく心配など杞憂のことでした。国立印刷局のサイトにはそれなりに製造過程が紹介されているし、高度な技術の結晶であることは容易に理解できます。特徴を挙げていくと、透かし/ナノ印刷/ホログラム/磁性インク/紫外線発光/凹版印刷。なぜそこまで?模倣を防ぐ目的だけで加工を行うにしては複雑過ぎる。実際、軍事技術との共通性も多く、高度な国家ほど、紙幣には複数のセキュリティ要素が重層的に組み込まれているとのこと。すなわち、紙幣は国家の意味を映しとった存在であり、国家が発行する思想と信用の媒体。紙幣製造技術=軍事力や諜報力を測る指標という見立ても可能です。模倣が不可能で製造工程はブラックボックス。加工も特殊なら、それを識別する機械もまた特殊なのです。ブランドとは何かと考えた時、参考にすべき対象が紙幣だと思います。
身近な存在であるがゆえに、その特徴や不可思議さは枚挙にいとまがありません。日本の紙幣の紙はミツマタやアバカ(マニラ麻)が使われているのですが、外国の紙幣は綿が中心だったり、合成樹脂が使われていたりします。割と馴染みがない植物名ですね。他にガンピやコウゾなど和紙の原料ともなる植物が使われていた様ですが、日本の紙幣は日本独自の規格です。アメリカドルは綿。国立印刷局によると、耐用年数(平均寿命)が1万円札で4~5年?これは以外にも短いですね。洗ってしまった様な記憶もあるけれど、破れた記憶がない。エイジング・マテリアルとして考えても絶妙ですね。