越境する"立てるペンケース" | Struo-break
立てるペンケース、海外へ発送しました。ペントレーも一緒。今回送ったのはメキシコ。各地域の決済方法も少しずつ増やしています。昨年11月くらいから足をとられている事柄がもう少しで区切りが付きそう。プロモーションもリスタートしたいところ。
最近本棚の整理をしながら手に取った"元素の王国(ピーター・アトキンス著)"めちゃくちゃ神々しい良書でした。
まるで「周期表」という地図を持った旅人が、不思議な世界を探検していくような構成。元素はただの記号ではなく、それぞれがある時代の価値観や文明の中心に位置し、人類の歴史を裏で動かしてきた。言い換えれば元素とは“ただ存在する”ものではなく、人間が「使う方法」を発見したとき、力・富・支配の道具となります。
→古代人が発見した金(Au)・銀(Ag)・銅(Cu)。時間、装飾、富、権力の象徴、人間にとっての不変の価値が生まれる。→鉄(Fe)が登場することで、青銅器時代に終止符が打たれ、武器や道具の性能が飛躍的に向上。→産業革命以降、石炭や石油(炭素(C)ベース)がエネルギー源の主役に。→核エネルギーと原子爆弾。ウラン(U)は20世紀の希望と恐怖の象徴。→半導体としてのケイ素(Si)が、情報革命・デジタル社会を可能にした。→リチウム(Li)はEVバッテリーや再生可能エネルギー社会の中心。
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資源・技術・政治・文化の交差点に常に"元素"が存在していた
元素はいっぺんにもしくはランダムに発見されたわけではなく、人間の長い歴史の中で、順路に従って一枚ずつ札をめくる様に、徐々に発見されることで、人間の時間の質を変容させていきました。"元素"という視点で見ることが出来るようになったのは、わずか150年以内ぐらいの出来事で、そこから人類史を垣間見れるというのがユニークですよね?メンデレーエフが周期表を提案したときですら、まだ発見されていない元素の“空席”をあえて残したのです。まるで遅れてやってくるNo,~(原子番号=陽子の数)というキャラクターが一人ずつ現れてくるのを待つかの様に。
元素の話で膨らませてしまうのですが、文房具やペンの中でも元素の視点で語られることはよくあります。ペン芯(エボナイト)一つとってみても、炭素(C:6), 水素(H:1), 硫黄(S:16), 窒素(N:7), 酸素(O:8)が共演を果たし、手が接触する支柱を構成している。また、ペン先に至っては金(Au:79)、鉄(Fe:26)、パラジウム(Pd:46)、ニッケル(Ni:28)、ロジウム(Rh:45)、イリジウム(Ir:77)という違いがあります。万年筆好きなら意識したことのある元素ですね?こう考えると、"文字を書く"という行為を支持しているのは、人類が一つずつその存在を認めてきた元素の集合体という認識を新たにすることが出来ます。"筆記"という何気ない行為の意味が変わっていきますね。