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先日は歴史的な日で二十代の頃お世話になったヘルツの近藤会長の傘寿のお祝いをする日でした。23で始めることになったレザークラフトも、その後23年経ったわけですが、人生の半分は革製品を作る事が頭にあったことになります。特別な思いがあるからこそ今まで積極的に明かすことはありませんでした。
近藤会長(当時は社長)が育てた人間が集まった素晴らしい日。最近神話の構造に関心がありますが、その影響力は神話そのもの。コトバの扱い、人心掌握術、感覚の鋭さは唯一無二のオリジネイターで、どれだけ影響を受けたか計り知れません。適当ってコトバではぐらかす人でもあるのですが、振り返れば雑談一つ、後々まで人の心に焼き付ける様に語る人でした。
ここで一つその影響を挙げるとすれば、モノの"顔"を重んじてた事。これは重要なコンセプトだと思います。工房は口頭伝承で受け継ぐ生きた情報の宝庫でした。Struo-stationeryの新作トレーなんて"直線無し!360度が見せ場!"なんてフレーズは確実に影響を受けていると言えます。すなわち"顔"のことを言っているわけですから。職人仕事を始める前から、私はカタチのコスモロジーを標榜していましたし、必然的な出会いでした。
私が居た頃は十数人の時代。その時からずっと職人を続けている"たたき上げ"の後輩達、元同僚、先輩にも会えたのは本当に嬉しい事です。会長は"職人は幻想"と最初から言っていましたが、工房は"集合天才"といった在り様で、総合力が高く、何人か影響を受けている作り手がいたのも事実です。この時代において師弟関係が仕事場にあるってスタイル好きですね。
近藤さん(皆そう呼んでます。)はいつまでもレザーバッグの始祖としてそこに居てほしい存在。80歳だなんて月日が流れるのは早いですね。トンカチの最初の一振りから教えてもらいましたから。ショルダーを磨くぐらいしか出来なかった頃に造ってもらった栗の木?を加工したツール置き、数少ない私の宝です。