ネックストラップ | Struo-break



本音を言えば、ひたすら我慢を繰り返して、丁寧に繊細に作り上げる、革のネックストラップの調整機能付きのパターン。(長さ調整機能なしのパターンもあり)イタリアンレザーの裏側には共革を配置し、スベスベした肌当たりの滑らかさを実現する意匠だ。イタリアンレザーの説得力はこの細さになっても生きている。
「首」は身体の部位の中でも、自分の眼で確認することが出来ず、触る感覚によって意識するしかない場所だから、鋭敏な感覚を持っている場所だと思う。「肌当たり(はだあたり)」とは、ものや物質が肌に触れたときに受ける感触や刺激の度合いのこと。
このネックストラップがどんな存在かを説明する上で重要な事。それは、長い一続きの革は、一枚の革の中で、限られた数量をその場所でしか採れないという希少性が凝縮された存在だということ。その理解を促すことから始める必要がある。
革の繊維方向を考慮して、最も均質な質感の場所を、その許された範囲内で採るからこそ、安定した商品になる。この前提がないと、本来の価値を見誤った価格で出さなければならない錯覚が起きるのは良く理解できる。本来ならおもねるべきでない思考に陥って、まともな仕事すら出来なくなるわけだ。私の眼には"打ち捨てられた市場"に映る。
物質としては、絶妙に細い。必要以上に太くなれば、首にかけて使うというアイテムの特性からすると、違和感に結び付く。この独特な細さが存在感を自然なものにする要因なのだ。ただし、面積が少ないことと、価値が低いことは同義ではない、最も象徴的なアイテムだと言える。むしろ精魂込めて、その細さを実現させてる。
また、要所の処理も異様に気を使う。10mm幅の中で、ステッチの間隔が更に狭いにも関わらず、安全な位置に穴を開けなければならない。誰でも簡単に出来るというわけではない作業性だから、手元のコントロールに対する許容性が少ない。丈夫に仕上げたい意志があると、見た目以上に気を使う。