魅力的な都市と見えない都市 | Struo-stationery
アメリカの都市学者、ジェーン・ジェイコブスによれば、魅力的な都市の4条件は以下の通りと言う。
1,街路の幅が狭く曲がっていて一つ一つのブロックの長さが短い事。
2,古い建物と新しい建物が混在すること。
3,各区域は二つ以上の機能を満たす事。
4,人工密度ができるだけ高い事。
都市を訪れた時に感じる高揚や違和感の記憶。確かに、居心地の良かった場所には、何らかの共通項があったし、逆に良く分からないけど好きじゃない、憂鬱になるような都市というのもあった。都市を"場所"に置き換えれば、使い心地の良いプロダクトやサービス、店舗も同じだろう。
空間や建物における言語も追ってたので、コルビジェの"輝ける都市"は知っていた。輝ける都市はなぜ輝かなかったのか。機能優先で設計された都市が人間にとって心地の良いものにはならず、結果的に人が遠ざかってしまった事例の一つとされている。歴史的、時間的文脈を考慮に入れた上で何を位置付けるかが問われると分かっていても、現実の世界ではかなり色々な実験が繰り返される。
テクノロジーが進歩しても人間は絶えず無意識に精神とのバランスを取ろうとするもの。何らかの"拠り所"を持つ必要があると思っている。情報が増えすぎた上に自分用に絶えず押し寄せてくる中で持ち出したのは"数学的思考"。不確実性の高い現実社会の不思議を読み解くには欠かせない。
都市は都市でも、昔好きだった小説に"見えない都市"がある。文字通り、目には見えない都市を扱った物語であり、マルコ・ポーロが皇帝フビライハンに世界の都市を見て来た様子(幻想も含まれる)を物語る。二人の登場人物は動かない。なのに、なぜ面白さを感じたのだろうと思うと、そこにはトポロジーの力があった。面白いというのは、つまりよく出来ているプロダクトを見ている様な気になるということ。場所から場所へ次元を越えながら、縦横無尽に想像を駆け巡らせる手法は、文章という表現方法が最も得意とするところ。これも"数学的思考"に関わる物語だった。