イタリアンレザーの使用

メインの革を小物に合わせて変更しました。今ではイタリアンレザー中心の思考になっています。何を中心に作っていくかという課題は仕入れている革にも影響があるものです。私は中型クラスのバッグに一番ハマる革を選んで、この数年使ってきました。一定の厚みがあれば形がしっかり出るような絶妙な加減のコシがあって、裏表ひっくり返す時にしなやかさがあって、最小面積でも説得力のある革。中型クラスのバッグには非常に合っていました。

最初の動機が曖昧になるにつれ、商品の展開も増えていくと、小物においてはもっと最小面積の訴求力があっていいと思うようになりました。素材間の違いについても敏感に感じるように。素材にこだわるのは一口で言うのは簡単だけど、細かな違いを自分の言葉で言語化出来ているかが重要だと思います。植物タンニン鞣し革の特徴とか、使用環境に対しての特性とか。

最高級のイタリアンレザーを商品作りに使えるというのは、民主的になって凄く有難い反面、物単体だと差を作るのが難しい。その中で、自分の特徴もはっきり意識する様になれたし、今が一番という事ですね。結論的には。

丸善での催事で他の作り手を見れたのと、素材に対する率直な考えを聞けたのは大きかったです。昔の様に、全力で集中して1日1本作るみたいな時間は今はありません。自分にしか出来なくて再現性があって、意味のある活動に時間を割くという現況になっています。