エボナイトとこんにゃくゼリー | Struo-stationery

エボナイトの日興エボナイト製造所のストーリーに着目。カスタムURUSHIやキングプロフィットにもエボナイト仕様がありますね。エボナイトは天然ゴムと硫黄の混合物で、パイロットやセーラーの高級筆万年筆の軸素材としても使われています。触覚的または視覚的に優れ、身体性との関わりにおいて理想的だということ。言い換えれば、人間の手と競い合った結果、手が求める感覚に負けなかった触知的素材と言えます。
その性質を並べていくと、丁度良い重さ、硬さ、触感、耐久性、加工性、そして時間を味方にし、道具が超えるべき壁をすべて超えている。しかし、それだけでは"高級"であるという裏付けには至りません。高温で加硫する工程の中で顔料を混ぜてくと独特な流体模様になるのですが、それが美しさに加点されているという事実に着目しました。(例えば「猛虎」)これは一体何でしょう。
少々強引な"高級"の理屈付けなのではないかと思ったのですが、人間は自然界のパターンに美しさや安心感を覚えるから、"硫黄入りのゴム"という存在から、知覚のリ・デザイン、感覚的なリ・フレーミングを行っているのがポイントなのです。
そういえば、食品である「グミ」は似たような存在。ゼラチン(動物の皮膚・骨から抽出されるコラーゲン)と砂糖と着色料を組み合わせ、子供が食べたくなるようなパッケージングやネーミングを行う。すなわち"感覚体験の総合演出"によって、素材に対する潜在的な嫌悪感を消し去り、口に運ばせると言っていい。こんにゃくゼリーも同様ですね。言い換えれば、"情報としての素材"を感覚・情緒体験が超える様に仕向けた商品と言えます。
日興エボナイト製造所の直営店である笑暮屋は注目ですね。定価で買える独立系路線を極めて欲しいです。