異質な詩学 | struo-break
●ある政経チャンネルの動画でカフカの「城」が取り上げられており、現代日本の情況に重なる小説として議論されていた。唐突だなと思いつつも、評論家の解釈の仕方に聞き入ってしまった。
●つまらない小説と言えばそうなのかもしない。だけど、何で持っていたのだろう。20年前から気になって何度もチャレンジしては弾き返された小説。最近処分したつもりが残っていたので、あと何周か線を引きながら読み直してみたい。
●「城」の読解に参考になるのがもし"日本中枢の崩壊"や"国家の罠"だとしたら、改めて無用の本ではないことを再認識した。元官僚の方が書く文章って、独特のリズムで読んでいて面白いのだが、その政経チャンネルでも言う通り「城」が読み辛くて不快な小説なのは確かだった。
●「目標はある。しかし道は存在しない。(決して城にたどり着くことができない測量師Kの苦悩)」という帯のコトバの力に惹かれていた。簡単に言えば、遠くに見えている城に行こうとする主人公Kがその途中の村で、一筋縄ではいかない妨害に合いまくって、たどり着けないまま物語が終わるというあらすじ。
●思い立ってchatgptに登場人物のセリフで物語を動かす象徴的なセリフを抜粋してもらったら、何とも好きなタイプの異質な詩学だった。独特な"構文"とも言える。ここでは省くけど、そのセリフが現代日本に置き換えた時にもたらす意味まで、AIが推理して教えてくれる。
- 「ここでは誰もが、自分が何者かは分かっている。しかし、誰もそれを知ろうとはしないのだ。」(村人の言葉)
- 「ここに入れるかどうかはわからない。だが、私たちがそこに向かうことは許されている。」(Kの独白)
- 「おまえは役人に会うことはできない。それに、会う必要もないのだ。」(村の使いの言葉)
- 「城のことを知っている者はいない。だが、みんながその影響を受けている。」(村人の言葉)
- 「全てはいつもここで決まる。しかし、何も決まらない。」(城に関する説明)
- 「誰もお前を知らない。しかし、そうであっても、お前はお前だ。」(村人からKへの言葉)
- 「城への道は誰にでも開かれているが、誰もそこに行こうとしない。」(村人の言葉)
- 「城の人間は完璧だ。だが、その完璧さは我々には不要だ。」(村人の言葉)
- 「どこにも行けないし、だからと言って、ここにいても仕方がない。」(Kの独白)
- 「あなたは村に歓迎されていない。もっと正確に言えば、あなたはどうでもいい。」(村の住人)
- 「重要なのは、書類が全て揃っているかどうかだ。それが誰にとって重要かは、分からないが。」(役人の言葉)
- 「問題が解決されるのはいいことだが、その問題が存在していなければ、もっと良かったのだが。」(Kの独白)
- 「城の役人たちは忙しいと言われている。何をしているのか誰も知らないが、とにかく忙しいのだ。」(村の住人)
- 「我々は皆、ここにいる。だから、それで十分だろう?」(村の住人)
- 「待つことは、最も大切なことだ。それが何を待っているのか分からなくても。」(村の住人)
- 「ここでは、指示を受けることが何よりも重要だ。しかし、指示が来ることはほとんどない。」(村の役人)
- 「正しい手続きであれば、結果がどうであれ問題はない。」(役人)
- 「誰もが知っていることだが、誰も言わない。それが秩序を保つ秘訣だ。」(村の住人)
- 「真実なんてどうでもいい。それよりも重要なのは、真実に見えることだ。」(役人)
- 「我々はここで長い間待たされている。しかし、待っている理由は既に忘れてしまった。」(村人)
- 「理解できないことがあまりにも多すぎて、何も理解しなくても済む。」(村人)
- 「失敗は成功の母であるが、我々は失敗しかしない。」(村人)
- 「何も変わらないのは良いことだ。それで皆が幸せなら。」(村人)
- 「何をするべきか分からないときは、何もしないのが最善だ。」(村の役人)
- 「本当は何をしているか知らないが、重要そうに見える。それだけで十分だ。」(村の住人)
- 「大切なのは、決して質問をしないことだ。そうすれば、問題は起きない。」(村の役人)
- 「城では、物事は常に複雑だが、それが当たり前だ。」(村の役人)
- 「真実は面倒なものだ。それを扱わなければならない時が来るまで、無視しておくのが良い。」(村の役人)
- 「何かが明らかになる時、それはたいてい遅すぎる。」(Kの独白)
- 「人々は自分たちが知っていることだけで十分だと考えている。しかし、その知識はいつも足りない。」(村の役人)
- 「規則が重要だ。しかし、その規則を誰も理解していない。」 (村の役人)
- 「全てが正しく機能しているように見えるが、実際には何も動いていない。」(村の役人)
あまりに面白すぎて、あと何個と延々と訊ね過ぎてしまった。ポケットサイズで意味の保証されたテキストが読める「文庫本」や「新書本」は素晴らしい。