4本という数 | Struo-stationery
差しペンケースの4本用は特異な存在です。その中でもカヴェコ・スポーツにフォーカスしたものは、さらにレア種。同じモデルを4本持ち歩くパターンがあるとしたら、個人的な趣向にもよるけど、カヴェコ・スポーツや、LAMY・サファリ、パイロット・カクノ(まどろみ)は連想されやすいと思います。他にも色々あると思いますが、単体でも愛されていながらインクの色違いで統一感を持って所持する感覚でしょうか。カヴェコ・スポーツシリーズは、ペン先が万年筆、ボールペン、シャーペンタイプがあり、お好みで組み合わせる事が出来るのが良い所。万年筆ユーザーでなくても使いこなせるんですね。軸のサイズがSMサイズで長さの規格も一定なので、ケースに統一感を持たせながら持てるのがポイントです。ただ、もし4本をコンパクトに持ちたいとしたら、ケースを探すのは簡単ではないですよね。カヴェコ・スポーツ4本用を見ると、極端なプロポーションのケースなので、大きな需要がなかったとしても、Struo-stationeryが網羅する意味は大きいと思います。大元となる筆記具の分類を通じて何を目指したか分かり易いですね。スポットで作っても意味のないモデルですから。
本数でいうと、3本用までは背面にカードを入れることを意識する方がケースとしては使いやすいと思っていて、SMサイズ(13mm)の3本用まではカードを意識して幅を決めています。SMSサイズ(12mm)になった途端にカードは入らなくなります。結果的にカードが入るようにするには、SMサイズまでが自然でした。
4本用になると、今度はなるべく幅はコンパクトに仕上げることにこだわりました。ショートサイズの筆記具ならコンパクトに収まるケースで持ちたいというのは、当然と言えるでしょう。カヴェコスポーツに限らず、4本差しは同じような葛藤を抱えつつ、よりコンパクトを目指してます。
ここまで"コンパクト"という言葉を何気に使っていますが、トポロジーにおける重要な概念。無限に拡がりを持たない閉じられた集合で、その境界点も集合に含まれるという意味です。ハイ。難しいようで「コンパクト」って便利な言い換えが可能なのが素晴らしいですね。4本差しの開発はまさにこの概念通りの思考プロセスでした。
数覚のことを調べると、1,2,3までは赤ちゃんでも数える能力を生まれながらにして持っていて、自らの手指を計算のために巧みに使い出すことがポイントなのですが、環境から"数を数える"という行為を引き出すわけではなく、DNAに"数を数える行為"が刻み込まれているらしいのです。また、言語的にみても世界の様々な文化圏で3以降の表記法や呼び方が変わる傾向が強い。1,2,3までは記憶するにしても特権的であり、4以降は記憶の仕方が変わる。そういった意味でも4本差しは冒険的と言えるのではないでしょうか。