意志のあるかたち | stuo-stationery

差しペンケース・シリーズは3本用タイプから始まっている。独特な「顔」に辿り着くまでには"相応の時間"と"決意"が必要だった。蓋付きモデルのファーストサンプルなんて、実に4~5年も引き出しで眠っていた。当時サンプルを催事に持って行った時に少し気に入ってた人がいたなぁぐらいの認識。自分で作っておきながら、その形が持つ意図を当時は理解しきれていなかった。着地点に自信が持てず、自らお蔵入りさせていたのだ。かたちの推理に自信が生まれた時、より大胆な方法で進化させた。

STRUO 革の3本差し 蓋付き オールドタイプ

革 3本差し ペンケース 3本用 STRUO

一方、蓋無しモデルは最初プレーンな見た目の商品だった。STRUOの代表作の一つで、ペン/万年筆を隔てる「仕切り」を"顔"にしているだけでも意外性があった。そこから中央にシンボリックに丸いカシメを打ち込み、"顔"に仕立てるイメージが湧いてきた。機能性を損なわず、一目で分かるブランド・コミュニケーションをするのには、この位置しかない。類似したモノがなかったが、洗練されていると思ったので、蓋付き・蓋なしの両モデルに適用した。今見るとプレーンなタイプは「元型」の様にも見えるし、完成はしていたけど過渡期の意匠だったと思う。あえて"顔"をカスタムしたのは確信があったからだった。

革 3本差し STRUO

STRUOの差しペンケースは意志のあるかたちであり、安易な模倣を許容しない。なぜなら、総合的に全てを真似するか、真似しないかを突き付ける意匠だから。偶然だけど、星野リゾートの社長も同じことを述べていた。元ネタは「競争の戦略」だと思います。